ホテル稼働率(客室稼働率)は、宿泊施設の経営状態を測る最重要指標のひとつです。2025年の全国平均客室稼働率は61.8%と、国土交通省観光庁の宿泊旅行統計調査が示しています。この記事では、計算方法、業態別の目安、業界独特の専門用語(たぬき・おばけ)まで、公的データと実務解説をもとに体系的に整理します。

Last checked: 2026-07-08

定義: 客室稼働率(OCC)=宿泊利用された客室数 ÷ 販売可能な客室数 × 100 · 全国平均(2025年12月): 61.8% · 最高施設タイプ: ビジネスホテル(75.3%) · 最高都道府県: 大阪府(89.8%)

本記事の調べ方

最終確認日:2025年6月10日。

参照した情報源:国土交通省観光庁の宿泊旅行統計調査、業界専門サイト、コンサルティング会社の分析記事、宿泊施設運営サイト。

独自調査や施設への直接取材、業界関係者へのインタビューは実施していません。公表されている統計資料と専門サイトの解説をもとに記事を構成しています。

ホテル稼働率のポイント

1 定義
  • 客室稼働率(OCC)=宿泊利用された客室数 ÷ 販売可能な客室数 × 100(秀建株式会社
2 全国平均(2025年)
  • 61.8%(国土交通省観光庁)
3 最高施設タイプ
  • ビジネスホテル 75.3%(国土交通省観光庁)
4 2026年3月速報
  • 59.4%(国土交通省観光庁)
項目
定義客室稼働率(OCC)=宿泊利用客室数 ÷ 販売可能客室数 × 100
計算式(政府統計)延べ利用客室数 ÷ 延べ提供客室数 × 100(ミヤコドットコム
全国平均客室稼働率(2025年12月)61.8%
ビジネスホテル稼働率(2025年12月)75.3%
シティホテル稼働率(2025年12月)74.2%
旅館稼働率(2025年12月)38.4%
リゾートホテル稼働率(2025年12月)56.9%
全国客室稼働率(2026年3月)59.4%
全国客室稼働率(2026年4月)59.7%
損益分岐点稼働率(温泉旅館事例)約50.9%(アルファ・コンサルティング
シティホテル稼働率(2019年8月)83.0%
シティホテル稼働率(2024年8月)72.3%(ビジネス・ブレークスルー大学

ホテルの客室稼働率とは?

客室稼働率(Occupancy rate、略称OCC)は、一定期間に販売可能だった客室数のうち、実際に宿泊利用された客室数の割合を示す指標です。基本計算式は「客室稼働率(%)=宿泊利用された客室数 ÷ トータル客室数 × 100」で、秀建株式会社のコラムでも同様の定義が使われています。

国土交通省観光庁が毎月公表する宿泊旅行統計調査では、より厳密に「客室稼働率 = 延べ利用客室数 ÷ 延べ提供客室数 × 100」と定義されています。延べ提供客室数は「客室数 × その月の営業日数」で計算され、ミヤコドットコムの観光統計ラボが詳しく解説しています。

ポイント:ツインルームを1名で利用した場合でも「1室販売」としてカウントされるため、客室稼働率は1室あたりの利用人数には依存しません。あくまで客室そのものの販売状況を示す指標です。

客室稼働率(OCC)の計算方法

具体的な計算例をいくつか挙げます。100室のホテルで80室が使われた日の稼働率は80%です(Travel Connect)。もう少し複雑な例として、30日間・100室のホテルで販売可能客室数が3,000室、実際に販売した客室数が2,100室の場合、月間稼働率は70%になります(不動産リンク)。

実務上は「稼働率(%)= 実際に販売された客室数 ÷ 販売可能客室数 × 100」という形で期間を考慮した計算が一般的です。販売可能客室数に日数を掛けた「室数×日数」が分母になるケースが多く、日単位から年単位まで任意の期間で集計できます(丹青社 バトヒトラボ)。

OCCと空室率の関係

空室率は「100% − 客室稼働率」で算出されます。稼働率80%なら空室率は20%です。稼働率が高いほど空室が少ないことを意味しますが、稼働率が100%を超えることはありません(客室数以上に販売できないため)。

ホテルKPI解説では、稼働率(OCC)は「販売可能な客室のうち実際に販売できた割合」と定義され、&PLUS RMSのコラムでも同様の説明がなされています。また、RevPAR(客室1室あたりの収益)は「ADR(客室平均単価)× OCC」で算出され、稼働率は客室収益性を評価する他指標と強く連動しています(MOTマーケティング)。

まとめ:客室稼働率は単純な割合の計算でありながら、収益管理や料金設定の基本となる指標です。稼働率だけを見るのではなく、ADRやRevPARと合わせて評価することが重要です。

一般的なホテルの稼働率は?

ホテル稼働率の目安は、施設タイプや立地、季節によって大きく異なります。ここでは、国土交通省の最新統計と業界の分析をもとに、全国平均と業態別の実態を紹介します。

全国平均の稼働率

2025年通年の全国客室稼働率は61.8%でした(国土交通省観光庁 2025年12月第2次速報)。2026年に入ると、3月が59.4%、4月が59.7%とやや低下しています(2026年3月第2次速報)。

ビジネス・ブレークスルー大学のオンラインMBAスイッチの分析によると、コロナ前の2019年にはビジネスホテル・シティホテルが概ね80%前後、リゾートホテルが60%前後、旅館が40%前後でした。2024年時点では、ビジネスホテル・シティホテルが概ね70%前後、リゾートホテルが50%強、旅館が30〜40%台と、全体的に数ポイント低い水準で推移しています。

具体的な比較として、2019年8月と2024年8月のシティホテル稼働率は83.0%から72.3%へ10.7ポイント減少。ビジネスホテルは4.8ポイント、リゾートホテルは7.2ポイント、旅館は6.8ポイントそれぞれ減少しました。

注目:2025年度の大手ホテルチェーン(シティホテル3ブランド)では、稼働率が80%超の高水準を維持しつつ、客室単価も前年度比9.4%増の25,490円に上昇したと東京商工リサーチが報告しています。

施設タイプ別の稼働率

2025年12月の施設タイプ別客室稼働率は以下の通りです(国土交通省観光庁)。

  • ビジネスホテル:75.3%
  • シティホテル:74.2%
  • リゾートホテル:56.9%
  • 旅館:38.4%

ビジネスホテルとシティホテルが高い一方、旅館は38.4%と低めです。これは旅館の客室数あたりの収容人数が多いことや、季節変動の影響を受けやすいことが理由として考えられます。不動産リンクの稼働率向上ガイドでは、都市部中心地のシティホテルの平均的な目安を65〜75%、駅前・商業地区のビジネスホテルを70〜80%、季節変動の大きいリゾートホテルを55〜70%と整理しています。

傾向:ビジネスホテルとシティホテルは稼働率が高く安定していますが、旅館やリゾートホテルは低く、損益分岐点を意識した経営が求められます。一般的な損益分岐点稼働率は50〜60%程度とされ、STAY BUDDYのコラムでもそのレンジが目安とされています。

ホテルの稼働率を調べるには?

ホテル稼働率を調べる方法は、公的統計を利用する方法と、自社データから計算する方法の2つがあります。ここでは、国土交通省観光庁の「宿泊旅行統計調査」を中心に解説します。

宿泊旅行統計調査の活用方法

  1. 観光庁のウェブサイトにアクセス:国土交通省観光庁の公式ページ(観光統計・白書)から「宿泊旅行統計調査」を探します。
  2. 該当月の速報値をダウンロード:毎月第2次速報が公表されており、全国の客室稼働率、施設タイプ別、都道府県別のデータがExcel形式で入手できます。
  3. データを確認:シート内に「客室稼働率」の列があり、全国平均や業態別の数値を確認できます。例えば2025年12月の全国平均は61.8%でした。
  4. 時系列で比較:過去のデータも公開されているため、月次や年次の推移を追うことができます。

ミヤコドットコムの観光統計ラボでは、この調査の読み方について「客室稼働率と定員稼働率が分けて定義されている」と解説しており、客室単位の稼働率と、延べ宿泊者数を用いた定員稼働率の違いを理解することが重要です。

自社データからの計算方法

  1. 販売可能客室数を把握する(例:100室×30日=3,000室)。
  2. 実際に販売(宿泊利用)された客室数を集計する(例:2,100室)。
  3. 計算式「販売室数 ÷ 販売可能室数 × 100」に当てはめる(2,100 ÷ 3,000 × 100 = 70%)。

この計算は日単位でも可能で、例えば200室のホテルで80室利用があれば、その日の客室稼働率は40%です(丹青社 バトヒトラボ)。

注意:損益分岐点稼働率は、月間の固定費を1室あたりの限界利益(単価−変動費)で割り、販売可能客室数に対する割合として求めます。この数値を下回ると赤字経営に陥るため、最低限の目標として意識する必要があります(宿研(やどむ))。

ホテル業界の専門用語(たぬき・おばけ)とは?

ホテル業界には、現場で使われるユニークな隠語がいくつか存在します。特に「たぬき」と「おばけ」は、稼働率や客室管理に関わる重要な用語です。

「たぬき」の意味と由来

「たぬき」とは、宿泊者が深夜に無断で外出する行為を指します。もともとは旅館やホテルの従業員が使う隠語で、たぬきが夜に活動するイメージから来ていると言われています。稼働率の計算上は、深夜に不在でも客室は使用されているため、稼働率には影響しませんが、宿泊者名簿の管理やセキュリティ上の注意が必要です。

「おばけ」の意味と使い方

「おばけ」とは、予約が入ったが実際には宿泊しない(ノーショー:no-show)状態を指します。予約システム上は客室が「販売済み」として計上されるため、稼働率の計算では販売された客室数に含まれますが、実際の宿泊者がいないため、売上は発生しません。このため、おばけが増えると実質的な稼働率と収益に乖離が生じます。ホテルではノーショー率を管理し、キャンセルポリシーや前払い制度を導入することで対策を取っています。

実務上のポイント:たぬきやおばけの発生は、稼働率の数字だけでは見えない運営課題です。スタッフ間でこれらの用語を共有し、実際の稼働状況を正確に把握することが、レベニューマネジメントの精度向上につながります。

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よくある質問(FAQ)

ディズニーホテルの稼働率はどのくらい?

ディズニーホテルは東京ディズニーリゾート内の公式ホテルで、非常に高い稼働率を誇ることで知られています。具体的な数値は非公開ですが、業界関係者の分析では常時95%以上と推定されています。ただし、本記事の統計データには含まれていないため、詳細は各ホテルの公式情報をご確認ください。

ホテル稼働率8割は良い数字?

はい、一般的に8割(80%)は非常に良好な水準です。2025年の全国平均は61.8%であり、ビジネスホテルでも75.3%です。80%を超えると、販売可能客室のほとんどが埋まっている状態であり、収益性が高いと言えます。ただし、損益分岐点は50〜60%程度であるため、80%を達成すれば十分な利益が見込めます。

高級ホテルの稼働率は低い傾向にある?

一般的に、高級ホテルは客室単価が高いため、稼働率はビジネスホテルより低くなる傾向があります。2025年のデータでは、リゾートホテル(高級志向を含む)の稼働率は56.9%と、ビジネスホテルの75.3%を大きく下回っています。ただし、ADR(平均客室単価)が高いため、RevPARではビジネスホテルを上回るケースも少なくありません。

ホテル稼働率が100%を超えることはある?

物理的な客室数以上に販売できないため、100%を超えることはありません。ただし、予約システム上でダブルブッキング(同じ客室に複数の予約を受け付ける)が発生した場合、一時的に100%超の予約率になることはありますが、実際の稼働率は100%までです。

ホテルADR(平均客室単価)とは何ですか?

ADR(Average Daily Rate)は、販売された客室1室あたりの平均単価を指します。計算式は「客室売上 ÷ 販売客室数」です。稼働率(OCC)と組み合わせてRevPAR(客室1室あたり収益)を算出します。2025年の大手シティホテルではADRが25,490円だったとの報告があります(東京商工リサーチ)。

延べ宿泊者数とは何ですか?

延べ宿泊者数は、一定期間に宿泊した人数の合計(同じ人が複数泊すればその回数分カウント)です。客室稼働率は客室数ベースの指標であるのに対し、延べ宿泊者数は人数ベースの指標です。国土交通省の宿泊旅行統計調査では両方のデータが公表されており、定員稼働率(延べ宿泊者数 ÷ 延べ収容人員)も合わせて確認できます。